2022年厨房設計のあり方と意義を問う/厨房設計の意識改革の視点
飲食業界を脇から支える厨房設計という役割は、なくてはならない業務のひとつであることは周知の通りであろう。
しかし一向にその不可思議な仕事の進め方は変えようとしない現実が壁のように立ちはだかるのはどういうことか理解に苦しむのは私だけだろうか。実務として厨房会社の設計部の担当者たちは、常に普段と変わらない仕事であるためになの不都合を感じないのは致し方ない現実であるのかも知れない。
また何がおかしいかが実務に精通しているスタッフにはなかなか理解できないことは無理のないことであろうし、これまでの業界の「古臭い慣習から脱却できない」ところにむしろ問題があるのかもしれない。
何度も述べているように飲食店の厨房設計とは、そこで提供される料理内容がしっかりしていないと現実的に適合した計画ができることが常で有り、現実の設計はただ厨房機器を並べただけの集合体でしかないことだ。
勿論、現実に提案された計画が実践に適合しているのであれば何の問題もないことであるものの、料理工程やオペレーションにマッチしていないために、現場に後々不満を残すことになる。
この様な現実が大きな問題として是正されない理由は、クライアント側の現場で働くスタッフの厨房に対する意識レベルや知識に欠けていることの何者でもない。
いうなれば、厨房設計の精度が重視されず、これまで業務が完結してしまうということに大きな問題があることであり、厨房設計の善し悪しや厨房計画の意義や役割に視点が集まっていないことの証でもあることだ。
いわゆる厨房設計に興味がない、あるいは精度を求めていないという現実がその根底にあることを理解しなければならない。
厨房設計の意義や役割は、いかに飲食店の現場の効率的オペレーション且つ繁忙時とアイドル時の労働力の削減など経営的視点に立った厨房計画が望まれていることはいかなる飲食店の厨房設計であろうとも、その基本は変わらないことだ。
何故に厨房設計の精度や内容にもっと重要性を見いだせないでいるかは、厨房設計は厨房会社では生産材ではなく、あくまでも業務を受注するためのサービスの一環であることに他ならないことだ。
しかし大手飲食企業は、厨房設計コンサルタントを参画させる際には、内装設計に支払うと同様な顧問料を支払うという習慣は少なからずとも業界に根付いている。
厨房会社であっても厨房設計業務に対する対価として設計料をクライアント側に請求できる制度の高い厨房設計をする姿勢を持たなければ、一向に厨房設計改革は進むことはないだろう。
厨房会社が設計する図面には、その具体的な説得力やクライアント側を納得させるだけの価値がないことに問題があることだ。
つまり厨房機器をただ単に並べた厨房設計では図面に対する価値を認めることはないだろうし、設計図面そのものに価値観がなければプロの仕事として完成度は低いものになる。
厨房会社の厨房設計部門が目指さなければならないことは、厨房設計でコンサルティング料を頂くスタイルへと考え方や姿勢を変えることであろう。
いつまでたっても設計料は無料で行うというカタチだけのサービスでは厨房図面の価値は上がらないことを忘れてはならない。
むしろ「クライアント側に納得させるだけの設計プランを提案できる技術や手法を持つことが改革の一歩であることを忘れてはならない」。
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